大阪の軽貨物運送『アシストライン』編集部です。
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今回は信書便制度について解説します。
2003年4月、民間事業者による信書の送達に関する法律(信書便法)が施行されました。
これまで国の独占とされていた信書の送達事業について民間事業者の参入が可能となっています。
事業の開始には許可等が必要です。信書便法は参入の条件、申請の手続などについて規定しています。
信書便事業とは、「信書便の役務を他人の需要に応ずるために提供する事業です。」総務大臣の許可が必要になります。
「信書」とは
「特定の荷受人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」と郵便法及び信書便法に定義されています。
信書を規定の送付方法以外で送付すると郵便法第76条違反に問われます。
【郵便法第76条】
一項 第4条の規定に違反したものは、これを3年以下の懲役又は360万円以下の罰金に処する。
二項 前項の場合において、金銭物品を習得したときは、これを没収する。既に消費し、又は譲渡したときはその価額を追徴する。
意外とやりがちな郵便法違反
日常生活では、信書かどうかなんて考えて送っている人はまずいません。
また、確実なサービスの良い送付方法で送ろうと思ったら、民間の運送業者(ヤマトや佐川)を使います。
実をいうとこれが、郵便法違反行為になりがちです。自分が送付している書類が信書がどうか必ず確認をしましょう。
結構大変なことになる郵便法違反
一般の方ならまず、郵便法違反かどうかを問われることはありませんが、企業取引については異なります。
実をいうと、虎視眈々と信書送付による郵便法違反で企業をはめようとしている人は結構いるんです。
数年前にあった人材派遣会社の郵便法違反の例
給与支払明細を民間運送会社に委託していた会社が、派遣さんに仕事を供給できているうちは誰も郵便法違反について触れていなかったのに、
不況になって派遣切りが始まってから、郵便法違反で全国紙の新聞でコンプライアンス違反を問われる事態になり、上場企業でしたが結局つぶれてしまいました。
このように、確実でサービスが良いからと言うことだけで、送付手段を選ぶと一企業がつぶれる事態にもなりかねないので、送付には細心の注意を払いましょう。
信書に該当する文書
1.書状
例:手紙
2.請求書の類
例:納品書、領収書、見積書、願書、申込書、申請書、申告書、依頼書、契約書、照会書、回答書、承諾書
◇レセプト、◇推薦書、◇注文書、◇年金に関する通知書・申告書、◇確定申告書、◇給与支払報告書
3.会議招集通知の類
例:結婚式等の招待状、業務を報告する文書
4.許可書の類
例:免許証、認定書、表彰状
※カード形状の資格の認定書などを含みます。
5.証明書の類
例:印鑑証明書、納税証明書、戸籍謄本、住民票の写し
◇健康保険証、◇登記簿謄本、◇車検証、◇履歴書、◇産業廃棄物管理票、◇保険証券、◇振込証明書、◇輸出証明書、◇健康診断結果通知書、消防設備点検表、調査報告書、検査成績票、商品の品質証明書、その他の点検、調査、検査などの結果を通知する文書
6.ダイレクトメール
・文書自体に受取人が記載されている文書
・商品の購入等利用関係、契約関係等特定の受取人に差し出す趣旨が明らかな文言が記載されている文書
納品書は信書として取り扱う
信書とは「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」と、郵便法及び信書便法によって定義が定められています。
この定義に則ると、簡単に言えば個人の宛名が書かれた書類は、すべて信書に該当するということになります。納品書も個人宛名が記載された書類ですので、信書という扱いです。
また、信書は宅配便などの手段で送ることができない書類と定められています。そのため、納品書も宅配便などの手段を使って送付することは基本的にできません。
納品書を信書として送付するタイミングとは?
納品書を送付するタイミングは商品の納品後に送付する、もしくは商品と一緒に送付することとなります。
しかし、宅配便で信書は送付できないため、商品と一緒に送付するのは難しいのではないかと考える方もいらっしゃるでしょう。そちらに関しては特例措置が用意されています。
納品書を信書として送る方法
1.納品したあとに信書に対応している郵送方法で納品書を送る
2.納品後にFAXで納品書を送る
3.納品書をPDFに変換してメールで送る
4.商品と一緒に納品書を宅配便で送る
商品と一緒に宅配便で納品書を送るという方法です。
本来は信書である納品書は宅配便で送れませんが、無封の封筒やクリアファイルなどに入れれば商品と一緒に送付が可能です。
この方法は法律でも認められているため、一般的にはこちらの方法が手軽に納品書を送付できる手段となります。
ただし、郵送法に抵触しないよう、注意が必要です。
信書の送り方を間違えると罰則もあり得るので注意
信書の送り方を誤ると郵送法に抵触する可能性があります。罰金が科されるケースもあり、十分に注意する必要があります。
トラブルを避けるため、信書の送付方法については十分に理解しておくべきです。
まずは該当する書類を把握し、誤って送付していないかを確認することが大切です。
特定信書便事業
創意工夫を凝らした多様なサービスを提供する「特定サービス型」の事業で、次に掲げる特定信書便役務のいずれかを充たす必要があります。
1.長さ、幅及び厚さの合計が73cmを超え、又は重量が4kgを超える信書便物を送達する役務
2.信書便物が差し出された時から3時間以内に当該信書便物を送達する役務
3.料金の額が800円を超える信書便の役務
直送注文集配サービス
巡回集配サービス
定期集配サービス
Q&A
配送業務を外部に委託することは可能か?
A. 信書便の業務の一部を委託しようとするときは、許可が必要です。ただし、原則として第三者への再委託や、信書便の業務すべての委託は認められません。
まとめ
今回は信書便について紹介しました。
取り扱いに注意しないと法に触れることもありますので、事前に調べてから送るようにしましょう。