軽貨物ドライバーが個人事業主として開業するまでの手続き方法と要件

2024年4月1日からトラックドライバーに対して、年960時間という時間外労働の上限規制が適用されることで、上限の適用外である個人事業主の需要が高まると言われています。

今までのように働きたいと考えている方は個人事業主として開業しようと考えているのではないでしょうか?

また独立を考えたい方にとってもハードルが低く、ネットの市場拡大により仕事も豊富にあるため、起業としても人気がある業種になります。

そこで今回は軽貨物ドライバーの開業についての流れ仕事の見つけ方について紹介します。
前提条件にも触れながら解説していきます。

目次

軽貨物運送業とは?

軽貨物運送業とは軽バンや軽トラックなどの軽貨物車を使用して、運賃をもらって荷物を運送する事業であり、正式名称は「貨物軽自動車運送事業」と言い、個人事業主として、1人で始めることができる運送業です。詳しくは下記を参照下さい。

軽貨物ドライバーが個人事業主として働く要件

軽貨物ドライバーが個人事業主として働くために最低限必要な要件は以下になります。

軽貨物ドライバーとして働く要件
  1. 普通自動車免許を取得している
  2. 軽貨物車両を保有している
  3. 事業所から2km以内に駐車場を確保している
  4. 個人事業の開業届を提出している
  5. 貨物軽自動車運送事業経営届出書を提出している

普通自動車免許を取得している

軽貨物ドライバーは配送業務をおこなうために軽車両が運転できる普通自動車免許を取得している必要があります。

軽貨物車両を保有している

個人事業主として始めるのであれば黒ナンバーの軽貨物車両が必要です。業務委託契約であれば会社や企業から車両が貸与される場合もあります。
運送によく使われる軽バンは初期費用やメンテナンスを含むランニングコストが乗用車より安価なものが多いです。

ただし車両の取得費用や業務利用するための手続きなどが負担になる場合は、リース契約などで軽貨物車両を保有する方法もあります。

事業所から2km以内に駐車場を確保している

軽貨物ドライバーの事業許可を取得するには、事業所から2km以内に所有する軽貨物車両の駐車場を確保している必要があります。

個人事業主であれば自宅を事業所として申請できるため、自宅に駐車場があればその場所をそのまま申請できます。

個人事業の開業届を提出している

個人事業主として軽貨物ドライバーを始める場合、開業届を出しておくと便利です。

白色申告であれば開業届を提出しなくても問題ありませんが、控除などのメリットを受けられる青色申告の場合は開業届を提出しておくと便利です。

貨物軽自動車運送事業経営届出書を提出している

軽貨物ドライバー事業を開始する際は、事前に「貨物軽自動車運送事業経営届出書」と「事業用自動車等連絡書」「車検証」を所轄の運輸支局に提出しなければなりません。

提出する地域によって必要書類が異なるため、開業地域を管轄する運輸支局のホームページで確認しましょう。

申請後に押印して返却される事業用自動車等連絡書は、貨物軽自動車運送事業を始めるために必要な「黒ナンバー」を取得する際に再度提出します。

軽貨物ドライバーが個人事業主になるための3つのステップ

軽貨物ドライバーが個人事業主になるための3つのステップについて紹介していきます。

軽貨物運送業を開業する手続き

軽貨物運送業を開業するには都道府県の運輸局に所定の書類を提出しなければなりません。

FC(フランチャイズ)など加盟する運送業者によっては代行してくれる場合もありますが、コツを押さえれば誰でも簡単に出来る制度になっているので、ここでは個人で行う場合を説明します。
必要書類が揃っていれば1日で終了します。

STEP
運輸支局へ必要書類を提出

事業を行う都道府県の運輸支局へ必要書類を持参し、届出を行います。
4つの書類が必要になるため、忘れずにチェックしましょう。

4つの書類
  • 貨物軽自動車運送事業経営届出書
  • 事業用自動車等連絡書
  • 車検証
  • 運賃料金表

貨物軽自動車運送事業経営届出書

「貨物軽自動車運送事業経営届出書」は軽貨物運送業を始めることを届け出る書類になります。
「軽貨物車を所有している」「営業所、休憩所、車庫を確保している」など、開業に必要な前提条件が揃っていることも重要です。要件を記入して提出用と控え用の2部作成が必要になります。

事業用自動車等連絡書

事業用自動車等連絡書(連絡票)』は、使用者となる運送事業者が輸送・監査部門での申請(届出等)が完了していることを証明する書類です。事業用自動車(緑ナンバー・黒ナンバー)について登録部門で手続をする際に必要になります。

車検証

連絡票とともに、新たに使用する自動車が新車の場合は諸元表、中古車の場合は車検証の写しが必要になります。

運賃料金表

1km〇〇円や1時間〇〇円など運賃の記載や附帯業務の料金など、依頼を請け負う上で必要な料金を設定します。

STEP
黒ナンバーを車両に取り付ける

黒ナンバーの発行を受け、車両に取り付けます。
事業用自動車等連絡書を軽自動車検査協会に提出すると『黒ナンバー』と呼ばれる営業用のナンバープレートが発行されます。
このナンバープレートを取り付ければ、軽貨物運送業を始めることが出来ます。

注意点として自動車保険の代理店もしくは保険会社にその旨を伝えてから走行しなければなりません。

正式には車検証のコピーなどを送付する必要がありますが、とりあえずすぐに電話連絡をしておきましょう。

STEP
任意保険に加入する

自動車保険の任意保険に加入しましょう。
万が一事故を起こした場合、自賠責保険だけでは対象が人のみになっており最低限の救済内容なので物に対しての保険加入が必要になります。
任意保険は自分の身体や車両、相手の車両、信号やガードレールなどの破損も補償対象になります。

注意点として自家用車の任意保険よりも保険料は高くなりますが、走行距離も多い貨物車は自家用車以上に危険が多くなるため加入が必要になります。
また、荷物を運ぶ場合は所有者に対する損害賠償である貨物保険にも加入したほうが良いでしょう。荷主によってはこの保険への加入が求められる場合もあります。

そして、何よりも体が資本なので、一般的な健康保険なども見直すことも必要です。

軽貨物ドライバーが個人事業主として働く仕事内容

軽貨物ドライバーの正式名称は「貨物軽自動車運送事業(軽貨物運送事業とも呼ばれます)」といい、軽トラックや軽バンといった貨物運搬用の軽自動車や二輪自動車を利用し有料で貨物を運送する事業を指します。

運送業は大きく以下の3種類に分けられます。

運送業の種類

  • 一般貨物自動車運送事業
    他者の貨物を有償で3輪以上の自動車を使用し運送する事業
  • 特定貨物自動車運送事業
    特定の他者の貨物のみを有償で自動車を使用し運送する事業
  • 貨物軽自動車運送事業
    他者の貨物を3輪以上の軽自動車または2輪自動車を使用し運送する事業

これら3種類のうち、一般貨物自動車運送事業と特定貨物自動車運送事業は既定の申請をして国土交通大臣の許認可を受ける必要があります。

一方、貨物軽自動車運送事業の開業に必要な手続きは届出のみと簡略化されています。

簡単な手続きで開業可能な軽貨物ドライバーは、軽自動車を利用するため他の運送事業と比べ軽量で小さい貨物が多く、幅広い年齢層の方が参入できるため、近年では副業としても注目されています。

軽貨物ドライバーの配送種類

軽貨物ドライバーの仕事内容は、具体的に以下の3種類に分けられます。

配送区分配送先配送物配送頻度
宅配個人宅食材、日用品など
(比較的小さいものが多い)
とても多い
企業配送店舗・事業オフィスなど事務用品やオフィス用品、飲食物など
(一度の配送で大量の物を配送する)
少ない
スポット配送個人宅や企業、空港など
(長距離配送のものもある)
機械部品、食品、輸入雑貨、建築資材など
(緊急で必要なもの全般)
とても少ない

宅配

宅配では、個人宅への配送が主となります。近年、Amazonや楽天などネット通販の利用ユーザー増加に伴い、宅配の需要が高まっています。

宅配は日用品や食材など比較的小さな荷物が多いので、女性や幅広い年齢層の人が参入できます。ただし、配送先が個人宅であるため受取人が不在で再配達が必要になるなどの問題もあります。

企業配

企業配は、店舗やオフィスなどの法人が主な配送先です。宅配と比べて、配送する貨物は業務用の事務用品や飲食物などが中心なので、一度に配送する量や大きい荷物が多く、配送件数そのものは少ない傾向にあります。

配送先の営業時間中のみ配送するため、配送は基本的に平日であり再配達のリスクが少ないことも大きな特徴です。

スポット配送

スポット配送とは、一般的に緊急もしくは突発的、短期的な配送依頼に対応する配送業務を指します。

緊急性の高い依頼が中心であるため、報酬は高いですが配送件数は決して多くはありません。なお、繁忙期などに人員補充として他の配送業者などから依頼されることもあります。

軽貨物運送業の個人事業主として仕事を探す方法

最後に個人事業主が仕事を探す方法について紹介します。

求人サイトを利用する

軽貨物運送業の仕事を取り扱う専門の求人サイトがあります。開業の手続きをサポートしたり、開業前研修を設けている会社もあるため安心して仕事に向かうことができます。運送会社へ面接に行く際は、初期費用や仕事内容、手数料など、給料面での確認をしておくと良いでしょう。

FC(フランチャイズ)に加盟する

FC(フランチャイズ)に加盟して業務委託を受けることで一定の仕事をうける場合も多くあります。仕事の受注などすべてを本部でおこなってくれるので、非常に便利なのですが、契約するには加盟金が必要になり、必ず仕事があるという保証がないリスクもあります。信用のおける事業者かどうかを見定める必要があります。

企業との直接契約をする

直接契約とは、企業の直接雇用ではなく企業と個人での配送契約をすることになります。「直受け」と呼ばれており、配送を依頼したい企業や出荷主へ営業をかけて配送の契約をかわすこともあります。
仲介業者を通さないため手数料などを引かれることなく報酬を受け取ることが可能ですが、個人と契約を結ぶことはハードルが高いため信用されることが大切です。

配送マッチングサービスを利用する

荷物を運んで欲しい『荷主』と、荷物を運びたい『ドライバー』をマッチングさせるサイトです。
必要なときに必要な分だけ、荷物配送の仕事を請け負うことができるのがメリットで、仕事を探すという労力が減り、仕事に集中できることになります。

PickGo、ハコベル、軽のシゴトドットコムなどが有名です。
特に『軽のシゴトドットコム』は軽貨物だけの情報を専門に扱うマッチングサイトになります。

ギグワーカーとして働く

業務委託と似た働き方でありながら、区別されているのが「ギグワーカー」という働き方です。業務委託との一番の違いは、インターネット上のアプリケーションや専用のプラットフォームを通じ、その都度単発で受注するという点です。

Uber Eatsや出前館などの配送業務もこれに該当します。

業務委託契約を結ぶ

一番オーソドックスな方法で、主に個人事業主として企業と業務委託契約を結ぶことで配送を請け負います。ヤマト運輸や佐川急便などの運送会社だけでなく、Amazonや楽天など通販サービスを提供している大手企業などもこの方法で軽貨物ドライバーを採用しています。

まとめ

今回は軽貨物ドライバーが個人事業主として開業するまでの手続き方法と要件について紹介しました。

個人事業主としてスタートしたばかりの方はオーソドックスな業務委託契約を結びながら、他の契約をすることをおすすめしています。

アシストラインでは業務委託契約を結んでいるドライバーさんに蓄積したノウハウを共有しております。

お気軽にお問い合わせ下さい。

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